コラム COLUMN

書籍の紹介 「図解でわかる企業価値評価のすべて」

更新日 : 2016.04.05

今日は、企業価値評価、特にDCF法の理解に役立つ本を紹介します:「図解でわかる企業価値評価のすべて」㈱KPMGFAS著、日本実業出版社(2014年)です。

DCF法の計算手法が詳しく丁寧に記載されています。たいていの企業価値評価の教科書では、割引率を用いた現在価値の計算方法、特に残存価値の算定式について、「詳細は専門書に譲る」的な記載で終わってしまうのですが、これはきちんと正面から取り組み、無限等比数列の和の公式で求めることを計算式付きで解説しています。高校の数IIIで学んだ知識を思い出し、懐かしさと感激至極です。これを理解すれば、他の数式も比較的容易に理解できます。残存価値(TV)がなぜ最終的なフリーキャッシュフロー(FCFt)を割引率(r)-継続成長率(g)で割るだけ、すなわち TV=FCFt/(r-g)で求められるのか、この本で初めてすっきりと納得がいきました。

また、この本には割引率の構成成分である資本コストの因子であるβ値を、レバレッジ成分とアンレバレッジ成分に分解して、非上場企業のβ値を求めるやり方が詳細に記載されています。解説が丁寧なので、読んだ後にすぐに計算を実践できました。お勧めです。

図解でわかる企業価値評価のすべて」㈱KPMGFAS著、日本実業出版社(2014年)