コラム COLUMN
韓国における技術・特許価値評価の動向と評価実務
更新日 : 2017.12.22
日本弁理士会の研修素材を利用して韓国における技術・特許価値評価の動向と評価実務に関する知見を新たにしました。
韓国では公共研究機関に対して技術の事業化のための技術評価を義務化しているとのことで、指定の技術評価機関を19か所以上も設けているそうです。この技術評価機関の担い手は民間企業や特許事務所へと拡大していく流れにあります。
韓国特許庁は韓国発明振興会とともに自動価値評価システムSMART3を共同開発しています。これは使用者が特許番号や権利者名を入力すると当該特許の定性的な特許分析評価を提供するオンラインシステムです。
2016年11月の時点で韓国特許庁は民間にSMART3の特許評価要素データを解放することを明らかにしました。このデータは韓国特許庁が公表している特許情報に限られるのですが、47個の特許評価要素からなっています。例えば、独立請求項の長さ、請求項数、権利者の類似特許占有率、意見書提出回数、情報提供数、発明の詳細な説明の単語数などです。独立請求項が長くなれほど権利範囲は狭くなるので価値が下がる、請求項数が多いほど特許発明のヴァリエーションが増えるので価値が上がる、類似特許群における同一権利者の特許占有率が高いほど価値が上がる、意見書提出回数が多いほど権利化の意志が高いので価値が上がる、第三者がモニタリングしている特許は価値が高い、実施例の単語数が多いほど価値が高い、という考え方に基づいています。SMART3はこれらの特許評価要素を組み合わせて100点満点でスコアリングをしますが、このとき指標のどれを何点の配点とするかはシステムの中のノウハウになっているようです。そうした上で、要素データから機械的・自動的に当該特許の価値を評価するシステムだとのことです。
こうした自動システムの普遍性・信頼性について疑問の声もあるかもしれまんせんが、上記の特許評価要素はヒトが評価を行なう際にも意味のある要素です。価値評価を機械が行うにせよ、人間が行うにせよ、定性評価の妥当性や、それから導き出した定量的(経済的)評価の妥当性を最後に判断することが重要だと思います。
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