コラム COLUMN

イボットソン/CPC企業価値評価セミナーに参加しました

更新日 : 2018.03.15

日経メディアマーケティング株式会社主催の「イボットソン/CPC企業価値評価セミナー(~実務における割引率の推計方法~)」に参加しました。有料セミナーではありますが、2月に開催された同じセミナーには先着順で間に合わなかったので、キャンセル待ちをしていたものです。多分参加された方々は会計コンサルタントや企業会計の関係者ばかりなのでしょうが、知的財産の関係者として参加してみました。

第1部で資本コスト、第2部で負債コストの推計方法と事例、について講義がありました。これらはいずれも企業の価値評価手法に導入されている重要なパラメータです。リスクフリーレート、負債コスト、エクイティ・リスク・プレミアム、ベータ値、サイズプレミアム、WACC、DCF法などの専門用語についても説明がありました。イボットソンはこれらのパラメータを有料で提供しています。インカムアプローチによる知的財産の価値評価でも同様の手法が使えるということを前提にしていますので、知財価値評価に携わる者は企業価値評価の用語や手法を基本的な事柄として知っておかなければなりません。

ただ企業と、知財(特に特許権)とで価値評価を行う場合の違いは、前者が事業の継続性(going concern)を前提としているのに対し、後者では権利の存続期間や技術のライフサイクルが有限であることです。企業の価値評価でDCF法を適用する場合、一定期間について各年度のキャッシューフローを割り引いた現在価値(Present Value)の和を求めますが、最終年度より後の期間は、残存価値(Terminal Value)としてまとめてキャッシューフローを計算して、これを割り引いて現在価値の和に足し加えるということをします。一方、特許のような知財では、同様にDCF法を適用する場合でも、現在価値の和を求める期間を限定して和を求め、残存価値は見込まないことが通常です。ただし、商標権のように更新を続けて権利の永続性が見込まれる場合は、企業価値評価と同様に残存価値を考慮することもあります。インカムアプローチ、DCF法といっても、一概に同じ手法が使えるわけではないのです。