コラム COLUMN
知的財産国際シンポジウム「知財価値と企業価値-日本とアセアン諸国の動向」
更新日 : 2018.03.16
日本弁理士会と日本知財学会主催の知的財産国際シンポジウム「知財価値と企業価値-日本とアセアン諸国の動向」(会場:政策研究大学院大学、六本木)に参加しました。日本弁理士会と日本知財学会の会長の挨拶の後、MURC、日本特許庁、マレーシア特許庁、シンガポール特許庁のゲスト講演者がお話をされ、最後にパネルディスカッションが行われました。
日本特許庁が「知財ビジネス評価書」等による企業の「事業性評価」に力を入れているのに対し、マレーシア特許庁とシンガポール特許庁では、「知財担保融資」を目的とした知財価値評価を推進しているとのことです。この点で日本と東南アジアでは知財価値評価に対するスタンスが異なります。マレーシアもシンガポールも政府が融資サポートとして「最大80%」まで保証をすることで、「担保」としての不安定さを解決しているとのことです。
マレーシア特許庁は、価値評価の概略や手法を記載した「iP VALUATION MODEL SALIENT FEATURES」という冊子を発行しており、それを入手しました。こじんまりとした冊子ではありますが、図案でわかりやすく価値評価のポイントを説明しています。同じ情報がマレーシア特許庁のウェブサイトにも掲載されています。マレーシアでは知財価値評価人の資格試験も設けているとのことです。
一方、日本特許庁は「知財ビジネス評価書」は「金銭的価値」を算出するためだけのものではなく、与信のための「事業性評価」を行うものであるということを強調していました。今後は、知財ビジネス成績表のような役割よりも知財ビジネス「提案書」(今後のビジネスに対する展望や知財戦略に関するアドバイスまで行うもの)が望まれるとのことです。
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