コラム COLUMN

AIの助けを借りて生み出した発明の発明者と特許権の帰属

更新日 : 2018.08.24

今日の午前は、知的財産研究所が主催する「平成30年度招へい研究者 研究成果報告会」に参加しました。「知的財産研究所」は、知的財産アナリストを認定する「知的財産教育協会」と同様に、一般財団法人知的財産研究教育財団の下部組織です。知的財産研究所では、特許庁から委託を受け、外国から研究者を招へいし、産業財産権に関する制度調和が必要となる課題について研究する機会を提供しており、今回のように招へい研究者 研究成果報告会を開催しています。

今日の報告者と研究テーマは、

・Pratap Devarapalli(プラタプ・デヴァラパリ)氏(クイーンズランド工科大学(オーストラリア)在籍中)

・“Patent ownership rights on inventions developed by humans with the assistance of Artificial Intelligence”(人工知能の助けを借りて人が生み出した発明についての特許の帰属(仮訳))

です。7月下旬から8月下旬までの約1か月の招へい期間中の研究成果の発表です。

たとえば製薬会社が創薬予測モデルを使って新規薬物を開発したいと考え、AI会社にビッグデータを提供し、そのAI会社が効果的な薬物分子予測モデルのAIアーキテクチャを構築して、それに基づき製薬会社が医薬を開発した場合、発明者(inventorship)は誰になるか、特許権の帰属(ownership)はどちらになるのか(製薬会社側かAI側か)という問題があります。薬物分子創薬予測モデルのアルゴリズムを特許出願するのか、アウトプットとして得られた新薬化合物そのものを特許出願するのかによっても、inventorshipやownershipが変わるということになります。いろいろ考えるところの多い報告会でした。