コラム COLUMN

知的資産経営報告書について

更新日 : 2018.11.21

昨日、日本弁理士会知的財産経営センター主催の研修「パテントマップを活用した知的資産形成報告書の作成」(伊藤洋介氏 名古屋工業大学 助教、弁理士)に参加しました。

「知的資産経営報告書」とは、企業が有する技術、ノウハウ、人材など重要な知的資産の認識・評価を行い、それらをどのように活用して企業の価値創造につなげていくかを示す報告書です。過去から現在における企業の価値創造プロセスだけでなく、 将来の中期的な価値創造プロセスをも明らかにすることで、企業の価値創造の流れをより信頼性をもって説明するというものです )。特許、ブランド、 ノウハウなどの「知的財産」のほかに、組織力、人材、技術、経営理念、顧客等とのネットワークなどの財務諸表には表れてこない目に見えにくい経営資源を「知的資産」として捉え、これを企業の本当の価値・強みとして利害関係人にわかりやすく見える化するためのツールの一つです。

実はこれまで官公庁等が提唱する知的資産の見える化ツールには、「知的資産経営報告書」のほかにも、「知財ビジネス評価書」、「ローカルベンチマーク」、「経営デザインシート」等、何種類か存在します。提唱された年度順に並べると以下の表のようになります。「知財ビジネス評価書」、「経営デザインシート」については、当コラムでも折に触れて紹介してきました。

知的資産の見える化を望む利害関係人のニーズに応じて適切なツールを選択することになります。「知的資産経営報告書」は必ずしも知財の専門家が見るとは限りませんので、見せ方に工夫が必要とのことで、そのための手段の一つがパテントマップです。当日の講義の後半はパテントマップの紹介でしたが、マップから得られた気付きをどのように顧客への提案につなげていくかを具体的に説明してもらいました。