コラム COLUMN

ベトナムで知的財産評価プログラムがキックオフ

更新日 : 2019.08.14

ベトナムのオンラインニュース SAIGON ONLINEの2019年7月16日付の記事によれば、ベトナムの知的財産局とホーチミン市(HCMC)の科学技術局が共催したプログラム「科学研究結果からの知的財産の評価」が始まったとのことです。専門の関係者の語るところでは、このプログラムは、知的財産管理ユニットが現在の評価プロセスを評価し、可能性のある障害または限界を特定して、実行可能な解決策を引き出すことを支援していくのだそうです。起業家にとって知的財産権の取得ですら面倒で複雑な手続きであるところ、知的財産の価値評価はさらに難易度の高い課題なのですが、その難しさを軽減するためのプログラムになるということです。

ベトナム知的財産研究所副所長のNguyen Huu Can氏は、知的財産は消費者を特定の製品やサービスに引きつけるための決定要因であるため、科学技術の研究成果から知的財産をうまく評価することは、国家管理単位の責務であると述べています。現在、ベトナムではさまざまな科学技術プロジェクトが実施されていますが、研究成果の知的財産権の問題には適切に焦点が当てられていないと考えられています。したがって、コスト・アプローチ、マーケットアプローチ、およびインカムアプローチの3つの基本的な方法に従って国内の知的財産の価値を評価することにより、科学技術研究成果の活用の権利を譲渡したり知的財産を介して自己資本を拠出したりする際の利益を的確に把握することができると考えられます。

先日、ASEAN事務局のLOOI TECK KHONG 氏による「ASEAN知財アクションプラン2016-2025:実施状況と今後の計画」というシンポジウムに参加しましたが、そこでも最後に「知的財産評価は非常に難しい分野横断的な課題であり、知的財産の正確な査定と流動化を可能にするためには政府間機関の取組みを行う必要がある」と述べておられました。ベトナムのみならず、ASEAN諸国でも同様に知的財産の価値評価の重要性が強く意識されていることがわかります。