コラム COLUMN

ロイヤルティ料率の国内における調査結果

更新日 : 2016.06.28

先週、実施料率に関する書籍を紹介しました。今日は、平成21年度特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究~知的財産(資産)価値及びロイヤルティ料率に関する実態把握~」を紹介します。

ここでいうロイヤルティ料率と実施料率はどちらも同じ意味で使われており、一般的に、特許権、技術ノウハウ等、無形資産の使用許諾が行われる場合に、無形資産の所有者に対して使用者から支払われる対価の売上高等に対する利益を指します。

本報告書は、株式会社帝国データバンクが、平成21年度特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書として、知的財産の価値評価とロイヤルティ料率に焦点を当て、知的財産価値及びロイヤルティ料率に関する実態調査を行った成果を報告書としてまとめたものです。知的財産のライセンス、売買及びM&A等に際し、その価値評価を行うことが求められ、代表的な価値評価方法の一つがロイヤルティ免除法です。しかし、価値算出のために用いるロイヤルティ料率を設定することが困難であることから、業種・分野別のロイヤルティ料率情報に対する強いニーズがありました。このニーズに応えるものが本報告書です。

3,006件の国内企業・団体に対して国内アンケート調査を行い、技術分類別(または商品分類別)ロイヤルティ料率を特許権、商標権、プログラム著作権、技術ノウハウについて集計して平均値等を求めています。また、ロイヤルティ料率だけでなく、技術分類別の技術ライフサイクル期間、ロイヤルティ料率決定要因の重要度や影響を及ぼす要因についてもアンケート結果を集計しています。

本報告書は2010年3月に刊行されたものと、2010年8月に刊行されたものがあります。

2010年3月に刊行されたものは、本編と資料編の2部に分かれ、資料編はさらに資料編I-II・資料編IIIに分かれています。全体として、
・各国の知的財産価値の推移
・我が国のロイヤルティ料率
・各国のロイヤルティ料率
・ロイヤルティ情報の開示状況
・今後の課題と提言
を内容としています。このうち「我が国のロイヤルティ料率」とそれに対応する資料編の部分が、ロイヤルティ免除法におけるニーズに応えるものとして実務に役立ちます。

2010年8月に刊行されたものは、上記調査に関し、特許権に関するロイヤルティ料率情報を、バイオテクノロジー等の新たな技術分類で再分析を行ったものです。アンケート結果やそのデータに新たなものが付け加わったわけではありませんが、先の報告書における技術分類とは異なる技術分野で新たに分析し直したものが記載されています。

先週紹介した書籍は、外国からの技術導入でわが国企業が契約した場合(ライセンスイン)の実施料率データを技術分野別に集計したものでしたが、本報告書はわが国企業・団体のライセンスアウトのデータの集計です。したがって、国内案件のロイヤルティ料率を取り扱うにあたり、より有益なデータ集であることは間違いありません。なお、本報告書の内容は1冊の書籍にまとめられており、これについては後日また紹介いたします。