コラム COLUMN
弁理士による知財価値評価のポイント①~事業との関係性、説得力のある理屈
更新日 : 2016.07.07
日本弁理士会の研修素材を利用して「弁理士による知財価値評価のポイント」について学びました。
講師の先生が紹介された「弁理士に期待される知財価値評価業務の本質とは、従来からある鑑定業務に加えて、事業との関係性をより意識した判断をすることである」、「価値評価は1つの見解であり、価格設定とは合意による約束である」(引用元:R.ラズガイティス著「アーリーステージ知財の価値評価と価格設定」中央経済社)、「絶対的に正しいことを行なわなければならないという強迫観念を持つことが多いが、価値評価は1つの見解・鑑定と同様、個人の見解と同様に捉える」という見解が印象的でした
しかし、この見解を以て知財価値評価の結果に対する逃げの理由になってはいけないと思います。客観的に導き出した1つの見解・鑑定としての一貫したストーリーと理屈が必要だということを肝に銘じておかなければなりません。或る裁判官の言葉として講師の先生が聞いたところによれば、「最終的な金銭的価格が『えいやっ』だということはわかっているが、対象となる特許の内容に基づいて説得力のある理屈を構築した上で、それを数値にどう反映するかというストーリーがほしい。」と仰っていたということです。共感するものがあります。また、価値評価レポートの読み手がだれなのか、裁判官なのか、税務署職員なのか、金融機関融資担当者なのか、中小企業の社長なのか、知財の知識に長けているのか疎いのか等々、また依頼者がどこまでのレベルの深堀りを求めてるのか等々、各々の状況に応じてストーリー展開も変わってきます。
知財価値評価業務は会計士や不動産鑑定士らも行っていますが、専門分野の違いから、知的財産権の中身にまで立ち入って技術と特許の関係、特許と事業性の関係にまで立ち入って判断することは難しいのではないかと思われます。だからこそ知財専門家たる弁理士ならではの、知財価値評価への付加価値というものが存在し、これが弁理士による知財価値評価のアドバンテージになるということです。貸借対照表などには載っていない知財価値評価については、弁理士が主体となってチームでやるべきものであると考えます。
世の中に期待されるような知財価値評価を行なっていけるように私たちも、この業務の有用性を外部に発信し続けていきます。
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