コラム COLUMN
韓国における知的財産権取引市場
更新日 : 2018.06.08
このコラムでもずいぶん前に韓国における知財価値評価について述べましたが、日本と異なり、韓国では知的財産権の取引市場が発展しています。つい先日、韓国では知的財産権の売却、ライセンス、収益化のための専門回収支援機関が設けられることになるとのニュースに接しました(情報元:韓国知的財産ニュース 2018年5月(後期)(No.367)2018/6/1 JETROソウル事務所知的財産チーム)。
このニュースによれば、韓国政府が5月23日に発表した「動産担保融資活性化推進計画」に知財担保融資関連市場の改善案が盛り込まれたとのことです。これによれば、中小企業と銀行と知財の需要者を結び付け、投資と回収がスムーズに行われる見通しなのだそうです。中小企業が銀行に知財担保融資を申請すると、銀行は専門回収支援機関に知財価値評価を要請し、その専門回収支援機関が知財価値評価を行い、収益化を図る;融資を受けた企業が返済できなくなった場合、回収支援機関が銀行からその知財を買い取り、ライセンス、再販売などにより収益を生み出す;というものです。政府の支援で回収損失を補填することも検討されているそうです。
このあたり3月に本コラムで報告したアセアン諸国の知財担保融資(マレーシアやシンガポール)と共通するところがあります。また、日本特許庁による知財価値評価が「知財ビジネス評価書」による企業の「事業性評価」に力を入れているのに対し、韓国での知財価値評価が「知財担保融資」を目的としていることも、マレーシアやシンガポールと同様ですね。
企業が有する知財が担保資産として認められるためには知財価値評価が必要です。上記のニュースによれば、韓国での知財価値評価は1件当たり500万ウォン(50万円)だとのことですが、銀行側は知財価値評価よりもむしろ、1件当たり40万〜70万ウォン(4~7万円)程度の一般的な技術評価を好んでいるそうです。政府予算がそのために予算を投入して銀行の知財価値評価の費用の半分を支援するとのこと。知財価値評価を行う機関も、銀行、信用保証基金、個人信用調査機関などに拡大するとのことです。
韓国ではますます知財価値評価業務が一般化されていく気配です。韓国での知財価値評価の動向にしばらく目が離せません。
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