コラム COLUMN
書籍の紹介 「経営に効く7つの知財力」
更新日 : 2018.06.15
昨日のコラムで紹介した報告書によれば、諸外国の先進企業は、知的財産の価値を「事業価値への寄与」だけでなく「企業価値への寄与」として認識し、「経営資源」として活用し尽くしているということでした。諸外国(特に米国・中国)において知財の価値が高いとされるのは、これが一つの要因であるというのです。知的財産を、売上利益向上という事業価値への寄与に加え、株価・企業の成長力の向上という企業価値への寄与として捉えているということです。
今日はこのことを考えるうえで役に立つであろう書籍として「経営に効く7つの知財力」土生哲也(著) 発明協会 (2010/09)を紹介します。著者はかつて日本開発銀行において知的財産権を担保にした融資制度の立上げやベンチャー投資を担当し、その後弁理士として特許事務所を開業し、特許庁等の中小企業向け知財戦略関連事業に数多く携わり、平成29年度 知財功労賞 経済産業大臣表彰 を受賞した方です。
著者は、知的財産を明確にする・適切に管理するというプロセスを通して、それぞれ知的財産が明確に仕切られ、外部にはたらく力を持つ効果が生まれると説きます。そして知的財産が明確に仕切ることにより、①無形資産を見える化する、②無形資産を財産化する、③創意工夫を促進し社内を活性化する、という効果が生じ、また知的財産が外部にはたらく力を持つことにより、④競合者間における競争力を強化する、⑤取引者間における主導権を確保する、⑥受注の決め手となる要素を創り出す、⑦協力関係をつなぐ、という効果を生じると考えています。これら7つの効果を著者は本書のタイトル通り「経営に効く7つの知財力」と唱えています。
著者は、知的財産に求められているのは、まずは『事業の決め手』にはたらくことであり、それが企業の競争力に結びつくと述べています。抽象的な議論にとどまらず、ところどころに具体例をちりばめてわかりやすく経営と知財との関係性を説いています。
昨日のコラムで紹介した報告書で言うように、「知的財産の価値を事業価値への寄与だけでなく企業価値への寄与として認識し、経営資源として活用し尽くす」ためにはどうしたらよいか、この土生哲也先生の本は教えてくれるような気がします。8年前に著された本ですが、その内容は今でも通用します、というか、今だからこそ再読しておくべきであると思い、紹介いたします。
「経営に効く7つの知財力」土生哲也(著) 発明協会 (2010/09)
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