コラム COLUMN

内閣府による知財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書③~事業価値の定性評価と定量評価

更新日 : 2018.08.17

昨日のコラムに続いて今日も、平成30年の5月に発行された内閣府の「知財のビジネス価値評価検討タスクフォース~経営をデザインする~」の事業価値の評価(定性評価と定量評価)の内容について紹介します。

(ⅰ)事業の定性評価

事業の定性評価では、例えば、クオリティ評価とインパクト評価を行います。

1)クオリティ評価

ビジネスモデルの質をS/A/B/Cのランク付けにより段階的に評価します。具体的には、ビジネスモデルを実現するための戦略として自社が保有する資源・外部の資源をどう活用するか、市場性・革新性・社会性等の観点から事業を評価します。

2)インパクト評価

ビジネスモデルの量的イメージを掴むために、ビジネスモデルがどれだけの規模のインパクトを市場や自社に与えるかについて、投資額・リターン・持続期間等を組み合わせてレンジの評価(何桁規模なのかなど)をします。

(ⅱ)事業の定量評価

事業価値を定量評価する方法としては、インカムアプローチが一般的に用いられます。将来の事業計画から見込まれる将来キャッシュフローをリスクに応じた割引率によって割り引くことにより現在価値を求めます。

この将来キャッシュフローの算定にあたり、事業の持続性・成長力に関連する要素として、経営者のビジョン・企業理念、長期的な事業計画、人的資源等の内部環境、技術変化等の外部環境などが挙げられます。

割引率の算定にあたって、リスクとなり得る要素としては、ガバナンス等の内部環境、制度改正等ルール変更、訴訟、為替・金融・経済リスク、技術変化等の外部環境などが挙げられます。

事業価値を評価した結果を外部に示す場合、外部とのコミュニケーションを円滑にするために、これらを企業内でどのように認識し、対処しているかについても示すことが望ましいとされています。