コラム COLUMN

金融機関の知的資産経営支援の取組み~きらぼし銀行の例

更新日 : 2018.12.07

昨日は日本弁理士会の研修で、「当行(注:きらぼし銀行)の知的資産経営支援・知財ビジネス評価書の取組みについて」を聴講しました。講師は(株)きらぼし銀行常務執行役員の強瀬理一氏です。強瀬氏は経営デザインシートの作成で当コラムでも何度か紹介してきた「知財のビジネス価値評価検討タスクフォース」の委員でもあります。

きらぼし銀行は、旧八千代銀行・東京都民銀行・新銀行東京の3行合併により本年5月に誕生した新しい銀行です。この日のお話は、合併後の銀行の概要から始まって、当銀行の中期経営計画におけるKPIとして、コンサルティング営業と事業性評価融資のこれまでの先数(貸出先件数)と今後の目標について紹介をされました。その後、「知的資産経営」支援、コンサルを含めた事業性評価との関係、行員のみならず取引先の経営者も含めた集合研修プロジェクト、営業担当者教育、知財ビジネス評価書や伴走型支援による取組み等々について話され、きわめて内容の濃いものでした。

集合研修方式では独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)の「事業価値を高める経営レポート(知的資産経営報告書)」についても触れていました。従来銀行内部でも同様のレポートの作成を行なっていたけれども、行員が各自で作っていたことが多く、必ずしも取引先の経営者の話を聞きながら作成していたわけではないこともあったらしく、そうしたことを含めて集合研修などで考え方を改めているとのことです。

またご自身が委員として関与された「経営デザインシート」についてもシートの実例に添って話をしていただきました。この経営デザインシートの対象企業は東京城南地区の企業であり、シートそのものが近々公表予定とのことですので、その際にはまたこのコラムで紹介したいと思います。

銀行内部の具体的事例を惜しげもなく紹介しながらお話をされ、話の内容もまさに対象企業の事業性(ビジネスモデル)に入り込んだものでしたので、常に耳を澄まし、一時も目を離せない充実した講義内容でした。