コラム COLUMN

知財金融フォーラムに参加しました

更新日 : 2019.03.05

昨日は、知財金融フォーラム「知財活用型事業性評価のひろがり~取引先から一層頼られる金融機関になるために~」に参加しました。平成30年度 特許庁中小企業等知財金融促進事業の一つの成果発表です。特許庁と金融庁の主催のフォーラムで、金融機関の方々の参加が多かったようです。2015年から2017年までは知財金融シンポジウムとして年に1回程度開催されていましたが、昨年度からは知財金融フォーラムという名称に変更されています。

特許庁、金融庁の演者の基調講演の後、地方銀行や地方信用組合の代表者3名による知財金融取組み事例の発表がありました。いずれの金融機関も伴走型支援を利用しており、その成果の発表です。伴走型支援とは、知財ビジネス評価書の提供だけでなく、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MUFG)の研究員や、中小企業診断士、弁理士等の外部専門家が金融機関内部で組織的に知財金融に関する企画、実行の支援をするというものです。金融機関が社内で「知財金融マインド」をどのように醸成していったのかを具体的に知ることができました。特に山梨中央銀行の発表では、地場産業としてワイナリーや宝飾品加工販売業者を顧客として有しているので、発表者の行員の名刺にワイン担当、宝飾担当という担当部署名が入っていたのが印象的でした。例えばワイン製造であれば、お客様(融資先候補企業)の社長様とヒアリングを行うに先立ち、ブドウ栽培・醸造・販売というワイナリーのプロセスごとに細分化を行って、その会社の強み・競合・課題を見つけ出す試みを行ったとのことです。その際にJPlatPatのような特許検索ツールや、情報収集シートも利用しているとのことです。この情報収集シートですが、昨年のきらぼし銀行の常務執行役員様のお話でも営業担当行員が同様のレポート(meets noteと呼んでいたかと思います)を作成していることを思い出し、意識の高い金融機関では同じような取り組みをしているのだなあと感心しました。

知財金融は知財活用型事業性評価とほぼ同義と考えられ、神戸大学の家森信善教授の定義によれば、「知財活用型事業性評価とは知財を切り口として、取引先企業の事業性(事業の実態や将来の成長可能性等)について理解を深めるアプローチ」とされています。今回のフォーラムではこの『知財活用型事業性評価』がキーワードとなっていました。知財ビジネス評価書から、取引先企業に具体的な行動を促す知財ビジネス提案書へと進化していくことが、5年間に亙る知財金融促進事業の今後の展望として望まれています。事業発展のための行動計画に踏み込むことが求められているのです。

休憩時間ではホワイエにて伴走型支援に取り組む地方金融機関のパネル展示が併設されており、自分にとって参考になった・示唆に富んでいたと思うパネルにシールを貼るという人気投票がありました。フォーラムの最後に投票の順位が発表され、表彰がありました。