コラム COLUMN

中国で特許権や商標権を担保とする融資案件がますます増加

更新日 : 2021.02.03

本コラムでは中国での知財権担保融資が進んでいることを何度か紹介してきました(中国 深圳市で知的財産権金融連盟が設立中国 上海市で知的財産権の担保融資を促進するための協定が結ばれる中国、知的財産権の運用にさらなる推進策を打ち出す)。

最近になってまた、中国で特許権や商標権を担保とする融資案件が増加しているというニュースが目につきます。中国中央政府だけでなく地方政府でも同様の動きがみられるようです。

2020年は中国全土で特許・実用新案・意匠・商標等の知財権を担保とする融資の総額は2180億元となり、2019年に比べて43.9%の増加だったとのことです(1月22日、国家知識産権局が開催した記者発表会による)。知的財産権担保融資は、不動産などの物的担保が不足している技術系中小企業の資金繰りを支援することが狙いであり、2019年8月20日に中国銀行保険監督管理委員会、国家知識産権局、国家版権局が「知的財産権担保融資推進活動のさらなる強化に関する通知」を共同で打ち出し、知的財産権担保融資の推進によってイノベーション型企業を後押しする方針を明確にしたとのことです。(出典:中国打撃侵権工作網 2021年1月25日

一方、中国の地方政府の動きとしては、浙江省において2020年の特許、実用新案、意匠担保融資の総額が2019年より132.29%増の401.07億元に達し、国内最大となったとのことです。融資を受けた技術系中小企業の数も同99.39%増の1317社となり、担保に使用された知財権は特許1542件を含めて計4772件とのことです。浙江省台州市の専利担保融資額も105.3億元に達し、初めて深センを抜き国内各都市の中でトップに立ったとのことです。2016〜2020年の「第13次五カ年計画」期においては、浙江省の専利担保融資総額が775.46億元、担保に使用された専利が1万3903件、専利担保契約の登録件数が3427件、融資を受けた技術系中小企業が3181社となっているとのことです。(出典:中国知識産権資訊網2021年1月27日)

上記2つの記事で開示された金額をまとめると以下のようになります。

中国全土

浙江省

憶元 前年比 億円 憶元 前年比

億円

2016~2018

202 3,228

2019

1,515 24,239 173

2,763

2020

2,180 +43.9% 34,880 401 +132.3%

6,417

775

12,407

(1元≒16円)

2020年の中国全土/浙江省の比率が2016〜2020年の浙江省の専利担保融資総額にも当てはめるものと仮定して単純計算すると、中国全土の5年間の融資総額は4,000億元(6兆4,000億円)を超える計算となり、年平均約1.3兆円という巨額になります。もっとも飛躍的に融資額が伸びたのが2019年8月の共同声明を受けてからと考えられますので、上記の計算はやや大げさかもしれませんが、2021年以降も中国における専利担保融資は安定的に伸びていくと予想されます。一党独裁で14億人に号令かけられたからこその成果なのでしょう。浙江省台州市は人口500万の中級都市で馴染みがないですが、「国内各都市の中でトップ」とは凄いです。