コラム COLUMN

特許庁がベンチャー投資家のための知的財産に対する評価・支援の手引きを公表

更新日 : 2019.07.02

特許庁は6月28日に、「ベンチャー投資家のための知的財産に対する評価・支援の手引き~よくある知財の落とし穴とその対策~ 」(平成30年度 経済産業省 特許庁)を公表しました。

研究開発型のベンチャー企業にとって知財戦略は事業成長の成否を大きく左右しますが、ベンチャー企業だけでは資金や体制が限られ、十分な取り組みができていないことが多いのです。そこで「投資家にベンチャー企業の知財戦略をさらに支えてほしい」という想いから、ベンチャー企業に投資を行う投資家に向けて、知的財産の評価・支援の落とし穴とその対策を、リアルな事例を挙げて手引書としてまとめたものが本資料です。

例えば、ベンチャーキャピタル(VC)が大学の研究者とともにベンチャー企業の設立に向けて準備を始めたところ、「共同研究先企業との契約条件で知的財産の活用に制約がつき、大学からライセンスできなくなる」という落とし穴が紹介されています。その知的財産権の権利が大学単独ではなく、共同研究先の企業との共有特許であることが判明し、共同研究先企業が競合の惧れからライセンス提供の同意が得られず、会社設立が頓挫してしまったというのです。このように、本資料は、エンジェルラウンド~シードラウンド~シリーズA、B,Cラウンドという各投資ラウンドごとに陥りがちな落とし穴を左ページに紹介し、その対策を右ページに説明するという見開き読み切り型で、投資家に知っておいてほしい知財戦略のポイントを説明しています。

 

安倍首相、知財の活用・保護の重要性を唱える~知財計画を決定

更新日 : 2019.06.24

6月21日の日経新聞に、首相官邸にて知的財産戦略本部(本部長・安倍晋三首相)が開催され、「知的財産推進計画2019」を決定したとの記事が掲載されていました。首相は知的財産の活用・保護の重要性を唱え、漫画やアニメなどの海賊版対策の重要性を強調しました。首相官邸のHPを見ると、「知的財産推進計画2019」が掲載されおり、知財のビジネス上の価値評価に触れています(p.83等)。これによれば、「知的資産経営報告書、統合報告、ローカルベンチマーク等コミュニケーションツールを普及する際に知財のビジネス価値評価検討タスクフォースの考え方を広めていくとともに、金融機関が行っている事業性評価の取組において知財のビジネス価値評価検討タスクフォースの考え方が導入されるよう促し、それらの状況に基づいて経営デザインシートの見直し等の必要な検討を行う。」とされています。

IP landscape for “Offensive Intellectual Property”

更新日 : 2019.05.14

Yesterday’s Nikkei Online article (May 13, 2019) states that the management team of company has emphasized corporate strategy based on “IP landscape” in favor of “offensive intellectual property”. The words of the directors of intellectual property at Bridgestone, Asahi Kasei and Kai Corp. are quoted.

“It is important to make presentation so as to make the management team interested by incorporating the movements of the industry and other companies, not using the terms and complicated diagrams that only engineers and persons of intellectual property departments can understand.” <Bridgestone,  Intellectual Property Headquarters, General Manager, Mr. Mitsuru Araki>

“In order to establish IP landscape, it is necessary to gain the trust of the management team and each business division of the company.”<Asahi Kasei,  Intellectual Property Department, General Manager, Ms. Sakae Nakamura>

“Younger people of the development team have become confident and changed their eyes to think about patents and ideas.” <Kai Corp.,  Intellectual Property Department, General Manager,  Mr. Keiichi Jibiki>

IP landscape is important to make the management team and the development camps, who are not necessarily intellectual property experts, understand the importance of management strategies based on intellectual property. So, their words are exacly right. How to show is important in IP landscape. The article contains several unsophisticated and sophisticated examples of IP strategy, which are of interest.

「攻めの知財」のためのIPランドスケープ

更新日 : 2019.05.14

 昨日の日経新聞(2019年5月13日 )に、企業の経営陣が「攻めの知財」を睨んで「IPランドスケープ」に基づく企業戦略を重視していることが掲載されていました。ブリヂストン、旭化成、貝印の知財部長様の言葉が引用されています。

「技術者や知財部門しか分からない用語や複雑な図ではなく、業界や他社の動きを盛り込む。(経営陣に関心をもたせる)見せ方が肝心」<ブリヂストン知的財産本部長 荒木充氏>

「IPランドスケープを定着させるには経営陣や各事業部からの信頼を得る必要がある」<旭化成知的財産部長 中村栄氏>

「開発陣の若手が自信をつけ、目の色を変えて特許やアイデアを考えるようになった」<貝印知的財産部長 地曳慶一氏>

IPランドスケープは知財の専門家であるとはかぎらない経営陣や開発陣営に知的財産に基づいた経営戦略の重要性をいかにして理解させるかが重要となりますので、いずれの言葉も的を得たものです。IPランドスケープは見せ方が大切なのです。記事には未熟な例と洗練された例が載っており、なるほどと思いました。

経営デザインシートのテキストが公表されました

更新日 : 2019.05.09

首相官邸の知的財産戦略本部のHPにて経営デザインシートのテキスト 入門編(PDF)応用編(PDF)が 公表されました。