コラム COLUMN
台湾における知財価値の評価人制度
更新日 : 2019.04.15
先日台湾の弁理士と台湾における知財価値評価について情報交換をしました。
台湾と中国では、去年から知財価値評価の評価人の試験制度が始まったそうです。試験は弁理士会ではなく政府が直接行っているとのことで、弁理士でなくても、大学を卒業している等の一定の要件を満たせば誰でも受験でき、会計士や不動産鑑定士でも受験できるそうです。勉強のための教材が用意されているのか伺ったところ、米国のNACVA (National Association of Certified Valuators and Analysts)の資料を使って勉強しているとのことです(Taiwan Association of Certified Valuators and Analysts)。
台湾では日本と違って、銀行等の金融機関は無形資産である知財の価値評価には興味がないらしく、知財の価値評価は主に企業買収のときに行うとのことでした。個々の特許の価値よりも企業が有する無形資産たる知的財産全体の価値を評価するようです。インカムアプローチ、マーケットアプローチ等、基本的な手法は日本と同じようです。
ところで米国では、上記の資格認定協会のほかにも、以前紹介したASA(米国鑑定士協会)も知財・無体財産評価教育のための評価人育成プログラムを行っています。米国では、様々な機関が同様のプログラムを提供しています。NACVAのサイトでその比較表を見つけましたので参考になるかと思います。
経営デザインシートのロゴ
更新日 : 2019.04.11
IPランドスケープにおける市場情報データベースの活用
更新日 : 2019.04.10
昨日は知的財産教育協会主催の「知的財産アナリスト認定講座特別セミナー」に行ってきました。テーマは 『IPランドスケープにおける市場情報データベース活用法』です。
IPランドスケープとは、大まかに言えば、知的財産情報を経営に活かすことを目指して「知財と経営を橋渡しする」ことです。そのためには、知的財産情報だけではなく、当該業界の「マーケット情報」を入手して将来の市場環境を分析したり競合相手に対する戦略を練ることが必須です。しかし、それらは世の中に広く断片的に存在しているため、必要なものだけを集めることは大変な作業となります。みなさんもGoogleなどの検索エンジンを用いたり、各種業界・企業調査レポートを利用したりしていることと思います。
今回のセミナーでは、株式会社ユーザベースの「SPEEDA」(スピーダ)という企業・業界情報データベースの紹介がありました。最近、企業の企画開発部門や知的財産部門で導入が進んでいるとのことです。産業分析レポート、企業の財務・非財務情報、ビジネスニュース、主要各国統計データ、M&A実績情報などの世界中のビジネス情報をワンストップで提供するツールなのだそうです。検索エンジンを用いると広告等の余分な情報が入ってきてしまうのに対して、このプラットフォームはユーザーインターフェースが使いやすく、マーケット・ビジネス情報や、技術・知財情報を直接WORDやEXCELなどにダウンロードできるので、検索の工数を削減でき市場ビジネスの把握と分析が容易に行えるとのことでした。
中国電力、特許の価値の定量的評価額を毎年発表
更新日 : 2019.04.05
中国電力株式会社は2008年度から毎年、IRの一環として「知的財産報告書」を発行しています。その報告書には、前年度の時点で存続している特許を対象に再評価(洗い替え)し、特許の価値の定量的評価を行った結果が掲載されています。例えば、2018年度の報告書(2019年2月発行)では、2017年度時点での評価額が164億円(前年度比5億円増)でした。日刊工業新聞電子版(2019年3月5日付)でも記事になっていましたので、ご覧になった方もいらっしゃることでしょう。
特許の価値の定量的評価は知財リスクを回避するための取組みの一つとして行われているようです。初期のころの報告書では、特許の価値の評価額を差止リスク回避額と、ライセンス料等支払リスク回避額とに分けていました。差止リスク回避額とは、新技術が特許で担保されていることにより競合他社から差止めされるリスクを回避できている金額です。ライセンス料等支払リスク回避額とは、競合企業が当該特許を保有していた場合に競合他社に支払うこととなるライセンス料を回避できた金額です。
最近の報告書では、差止リスク回避額を「特許技術が関係したコスト低減額」と言い換えています。これは、技術を特許出願することで事業活動の自由度を確保できていることの金額効果とのことです。
最近の報告書ではまた、ライセンス料等支払リスク回避額を「特許の価値の定量的評価額」と表現を変えています。これは、対象技術が特許で担保されていることで自社のみがメリットを享受できている金額効果とのことです。これは、「特許技術が関係したコスト低減額」に特許技術の寄与度や特許の強さなどを加味して算定しているとのことです。日刊工業新聞に掲載されていた金額はこの金額です。
「特許の強さなど」は報告書では発明の「独占排他性」とも表現されており、特許庁の「特許評価指標(技術移転版)」をベースに事業内容に合う評価項目を採用しています。具体的には、2018年度の報告書では、特許評価指標の権利化状況・権利としての強さ・代替技術に対する優位性の3つの項目を取り上げ、各項目ごとに1~5点のスコアを付け、15満点に対する割合%を「独占排他性」の係数としているようです。
特許技術の寄与度(%)と独占排他性(%)の両係数は個々の評価対象特許ごとに異なるはずですので、それぞれの特許について「特許技術が関係したコスト低減額」を求め、それに「特許技術の寄与度」の係数および「独占排他性」の係数を乗じてそれぞれの評価額を求めて合計していくのだと考えられます。両係数の積はこれまでの報告書からは35~44%の範囲に入っていることがわかります。
「特許技術が関係したコスト低減額」をどのように求めるのかまでは報告書からはわかりませんでしたが、11年も前からIRの一環として知的財産報告書を作成し、しかも自社特許の価値の定量的評価(金銭的評価)を実施して開示している中国電力知財部の慧眼と努力に感服しました。なお中国電力は特許登録件数がエネルギー業界で1位とのことです。
経営デザインシートの簡易版公表(内閣府)
更新日 : 2019.03.07
先日知財金融フォーラムについて報告しましたが、パネルディスカッションに内閣府の参事官も登壇し、経営デザインシートを紹介されていました。その中で、経営デザインシートの補助シートとして、新たに「経営デザインシート(簡易版)」を作成したことを紹介していました。
日本語と英語でそれぞれPDFファイル版とパワーポイント版の計4種類があります。今年の1月に公表されたものです。(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html)
ARCHIVES
- 2024年6月
- 2023年10月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2022年12月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年6月
- 2021年4月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年10月
- 2020年4月
- 2020年2月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月